葉緑素(クロロフィル)研究の歴史は古く、1818年Pellatierらが植物から抽出した緑色色素をChlorophyllと命名したことに始まり、1913年Willstätterはクロロフィルの分子構造を明らかにし、1915年にはノーベル賞を受賞しました。
葉緑素(クロロフィル)は第2次世界大戦中、その薬理効果に注目した米国で負傷兵の治療に使用されました。この時、葉緑素(クロロフィル)に脱臭作用のあることが発見されました。以後、葉緑素(クロロフィル)の薬理効果について多方面で研究されるようになり、数多くの作用が確認されています。
葉緑素(クロロフィル:Chlorophyll)は「葉緑素」という別名の通り、植物の葉などに含まれる緑色色素です。 植物では細胞内のクロロプラスト(葉緑体)にあり、太陽光をエネルギー源として、水と空気中の二酸化炭素から糖などの有機物を合成す る「光合成反応」を行っているのは良く知られています。葉緑素(クロロフィル)とは、多くの動物の血液に含まれる赤色色素(ヘム)と極めて似た構造を持っており、どちらも生命維持に不可欠であるという点で、非常に興味深い物質といえます。
一般に葉緑素(クロロフィル)という場合、葉緑素(クロロフィル)類に対する総称を指しますが、葉緑素(クロロフィル)には多くの類似体が存在し、高等緑色植物や緑藻などはChlorophyll a とbを含み、褐藻、ケイ藻などではChorophyll aとc、紅藻ではChorophyll dを含むことが知られています。
本文献紹介はクロロフィルの効果に関する情報を提供し、便宜を図ることを目的としています。本文献紹介の取扱いにつきましては、十分に御注意願います。なお、本文献紹介の利用によりいかなる損害が生じても、弊社は一切の責任を負いかねますので、予めご了承下さい。
本文献紹介では、文献の表記方法を次の様に統一いたしました。それ以外の部分は原文のまま掲載しています。
(表記例)
○ Copper chlorophyllin as deodorant …①
R.M.Hainer:Science,119,609~610(1954)…②
・K Cu cholorophyllinの懸濁液の脱臭能力についての研究。…③
・種々の悪臭についての脱臭効果が研究されている。
①表題、②著者・文献、③内容の簡単な説明
創傷、潰瘍等の治療実験を行った多くの人びとは、殆んど例外なく、葉緑素に強力な脱臭作用のあることを認めている。患者自身はもとより廊下を通る人びとにまで嫌悪感を抱かせるような悪臭が、短時間に消失したという報告もあるが、特に脱臭作用を主眼とする研究も下記の人びとによって行なわれた。
lt.Col.W.F.Bowers:Am.J.Surgery,73,37(1949)
T.Howerd Wescott:N.Y.State J.Med.,50,698(1950)
The deodorant"Chlorophyllin"H.W.voigtlander,H.M.Henning:Arzeimittel Forsch,3,182(1950)
Pros and Cons of Chlorophyll as adeodorant
Milton A. Lessr:Drug & Cosmetic Ind.,71,30~31,128~183(1952)
Freshening of air Air Chem.Inc.(Guy S Pacchal Inoventor)Ger.Pat.810,710(6 Aug 1951)
Chlorophyllin in internal medicine H.Howard westcott:Drug & Cosmetic Ind.,72,403~409(1953)
Bacteriological contribution in the mechanical action of chlorophyll in deodorizing
E.V.Wasielsky,A.Albrecht:Z.Hug.Infectionskrankh,136,141~158(1953)
An analysis of chlorophyll problem Arther H. Bryan,:Drug & Cosmetic Ind.,72,612~613,706~713(1953)
CttorOphyll as a deodorant
H.v.Czetch Lindenwald,G.Muller:Deup.Apoth.Ztg.,93,24~25(1953)
Copper chlorophyllin as deodorant
R.M.Hainer:Science,119,609~610(1954)
Alkohol breath tests and breath deodoraton by chlorophyll derivatives
Leon.A.Creenberg′David Laster:QuartJ.Studies Alc.,15,16~20(1954)
Effecuveness of some chlorophyll derivate市s in the control of canine mouth orders
W,E.Beggs:J.Small Animal Med.,1.215~219(1952)
ChlorOphyll H.Ghosh,K.B.Dutt:Science and Culture(India),19/25(1953)
Effectiveness with chlorophyll as a deodorant
Hans Schwarz:Seifen Ole Fetten Wachse,80,258(1954)
Deorizirlg action of chlorophyll
P.Niccolini:Boll Soc.ItalBiol.Sper.,28,978~979(1952)
Deodorant
Flanklin Ho Wescott
U.S.Pat.2,794,762(4 Jun 1957)
Treating cacao seeds
Wm J.Hale
U.S.Pat.2,813,795
Improbing aroma of roasted coffee
Wm J.Hale
U.S.Pat.2,824,805(25 Feb 1958)
Metabolism of yeastl.Action oF plantporphyllins on the multiplicadon of yeast cells
A.Konsanszky:Scheweiz.Z.allgem.Pathol.n.Bakteriol.,22,515~518(1959)
U.S.Pat.2,824,805(25 Feb 1958)
ProtectiOn of antibiotic Pilnaricin frorrl oxdation and ultraviolet light by chlorophyllin
and other compounds
J.Dekker/Peter A.Ark:Antibiotics&Chemotherapy,9,327~332(1959)
葉緑素の卓抜した諸効果が次第に明らかにされ、その応用範囲も拡がって来るにつれて、葉緑素に関する文献を紹介して欲しいという声をしばしば耳にするようになりました。弊社に於いてはこの要望に応えて,内外の諸文献を渉り、諸賢の御参考になりそうな文献―主として応用方面に関する報告を集めその主旨を略述した「葉緑素の効果に関する文献紹介」を贈ることにしました。完壁というわけには参りませんが、一応各科領域を網羅しているつもりであります。何かのお役に立てば幸甚に存じます。
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